URLを残して消えた弟
弟の帰りが遅かったので、チャットで連絡を取りました。
「いつも使ってる道が工事で通れなくて、仕方なく別の道を通った」と返事がありました。
どうやら見知らぬ路地に迷い込んでしまったようで、「なんかやばいかも」と言いながらも、弟はまだ冗談交じりの調子でした。しばらくして、「あ、なんかポスターあるわ」というメッセージと共に、 「ポスターにURLついてたからアクセスしてみたけど、バグってるっぽい。兄貴見れる?」と送られてきました。
なんだろうと思いつつアクセスしようとしたところで、突然弟から電話がかかってきました。
通話の向こうは荒い息と足音ばかりで、彼が必死に走っているのが伝わってきました。私が「どうした?大丈夫か?」と声をかけても返事はなく、しばらく無言が続いた後、弟は唐突に落ち着いた声でこう言ったのです。
「……もう大丈夫。もう帰れるから」
それはいつもの声なのにどこか他人のようで、妙に冷静でした。
直後に通話は切れ、それ以来、弟からの連絡は一切ありません。
チャットに残されたURL。 あれが弟の失踪と関係しているのかもしれません。
管理人メモ
失踪直前に送ってきたというURLにアクセスしてみて驚いた。これはおそらく、桶地下内部のサイトのようだ。通常は見ることができないが、ある特定の条件を満たした時だけ、見ることができる。私も長年、桶地下に関する情報収集を続けてきたが、こんなものが存在するとは思いもしなかった。
ただ、この証言者の弟のように、サイトを閲覧したことで何らかの危険に巻き込まれる可能性は否定できない。むやみに多くの人がアクセスするべきではないと判断し、一定以上の知識を持つ者にだけ、URLを開示することにした。
パスワードは失踪した人たちが桶地下で目撃したマークの名称、8文字だ。